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現在の中学受験の実態をみるに、いわゆる難関校を受験する生徒のほぼ全員が塾に通っており、筑駒・男女御三家・早慶・海城・駒東など最上位校を目指す生徒の90%程度が家庭教師について学んでいます。 しかし、家庭教師に関しては保護者間で話されにくい雰囲気にあるといいます。どのような家庭教師についているかはもちろん、家庭教師についているかどうかすら語られないようです。たしかに「うちの子は少ない投資でここまでの成績をとっている」「分からないことは家庭内で解決している」と言えるのが理想です。しかし、現実はなかなかうまくいきません。
①塾の宿題がこなせない、、、どの塾であれ、優秀な生徒には膨大で、難解な宿題を課します。それを日々こなしていくのは大変なことです。しかも、ただこなすだけでは意味がありません。記憶を定着したかどうか確かめながら進めなければならないし、本質的な深い理解ができているのか(つまり実際に関連問題を解けるのか)が重要です。
②できない問題をほったらかし、、、できない問題を理解し、次からはできるようにするのが勉強です。優秀な生徒ならば、ほとんどの問題は解けるでしょう。しかし、大切なのはできなかった問題です。その解き直しがいいかげんになっていませんか。解き直しがいいかげんになっているとしたら、原因はこんな所でしょう。「整理不足でどの問題が解けなかったかまとめられていない」「時間がない」「面倒くさい」といった所は問題外として、「解説を読んでも分からない」「両親が解説できない」「両親に解説をする時間がない」「両親と勉強するとふざけたり、喧嘩になったりしてはかどらない」。頼みの綱は塾のフォローですが、塾の先生は忙しくなかなか一人の生徒のために時間を割くことはできません。塾の質問教室には行列ができていて、何十分も並ばないと質問できない上に、満足のいく答えが返ってこない場合もある。そんな時間の無駄はできません。
③どうやって勉強したらよいのか分からない、、、もちろん難関校を目指す生徒、ご家庭は一定の勉強法を確立されているでしょう。しかし、長い受験生活において、信頼できる相手に相談したいことは細大問わず無数に出てきます。「何時に寝かせたらいいですか?」「今の勉強法は正しいですか?」「試験日にはなにを食べさせたらいいですか?」「うちの子は勉強に向いているのでしょうか?」「お正月は元旦くらい勉強を休ませてもいいのでしょうか?」「本は何を読めばいいですか?」「小学校を休んでもいいですか?」「今、一番対策しなければならない教科は何で、どの範囲ですか?」「図形問題が解けないんですが、、」「記述問題が書けないのですが、、」、、、、きりがありません。ご家庭の、とくにお母さんの悩みは、他人から見て順調そうな受験生活においても、絶対に尽きないものです。よく語られるように、中学受験においてご家庭(特に母親)の果たす役割は極めて大きなものです。有名な「中学受験は母親の受験」という言葉がありますが、全くその通りだと思います。ですが、何もかも母親が責任を持ってこなすのは時間的・体力的・精神的にも無理ですし、実際に勉強内容や受験の詳細に至っては母親には判断がつきかねるときがあります。この場合も、頼りは塾ということになりますが、やはり塾は忙しく、生徒一人一人を見ている時間は少なくなりがちですし、塾には塾の論理・思惑が働いており、どこまでそのアドバイスを信用してよいのか不安になることも事実です。また、よほど図々しい方でない限り、日々噴出する疑問の全てを塾の先生に電話して相談するというわけにはいかないでしょう。受験勉強の相談というのは往々にして長引きます。塾の先生にしても数多くの生徒の親から寄せられる相談の全てに大した時間は割けないはずです。
④できることは最大限にやっているつもりなのに成績が伸びない、、「起きている時間はずっと勉強している。」「子供の精神的バランスが許す限りのギリギリまで勉強させている。」「塾で指示されたことはできる限りこなしている。」「その他にもできる限りの工夫を凝らして勉強している。。。」でも成績が伸びない。これは何よりも深刻な事態です。もしも本当に限界まで頑張っているのに何ヶ月も成績が伸びないとしたら、原因は単純「勉強の方法が間違っているから」です。「うちの子は(僕は)勉強に向いてないんだ。」などと思い込んではもったいないと思います。本当に頑張れる子は伸びるはずです。ただ、勉強のやり方が合っていないだけです。その子にぴったり合った勉強方法が見つかれば、革命的に、少なくとも効率よく成績を伸ばすことができるはずです。塾は画一的になりがちですし、その塾自体がその子に合っていないかもしれませんし、ご両親はいかに優秀であっても基本的には自分の勉強方法しか知りません。
このような現状があるからこそ、実際に難関校を目指す生徒の大部分に家庭教師がついているのです。「受験に家庭教師は必要ない」「塾と家庭がしっかりしていれば家庭教師は必要ない」「となりの〜さんにも家庭教師はついていないようだ」という考えは間違っています。現在の、首都圏の、難関校受験には家庭教師が必要です。塾がよくないのではありません。塾は家庭教師以上に大切ですし、塾のカリキュラムにはついていかなければなりません。ただ、中学受験には家庭教師にしかできない領域があるということです。当会は、中学受験は家庭(特に母親):生徒本人:塾:家庭教師=5:2:2:1だと考えています。
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